セドナは思わず牡鹿を止めてニコを振り返った。
両手で十本以上の工具を器用に持つニコはセドナを見ておらず、セイクリッドたちの集団がいる方へ向いていた。
いつもは優しげな薄荷色の双眸に揺るぎない意志が宿っているのを感じる。
セドナは鼻の下を人差し指でこすった。
「なんかお前、ますます人間に近くなってきたな」
「そうですか?」
「ああ。最初に会ったときよりも、なんつーか、中身が詰まっている。
それも覚えた『心』が増えたからなのか?」
ニコは黙って左胸に手を当てた。
瑠璃色の羅針盤は今、数多の色で溢れている。
感情、『心』は色に似ている。
それを多彩に持つものが人間なのであれば、ニコは確実に人間に近いゴーレムになっているのだろう。
「だけど、いっつも同じ顔なのは変わらないよな」
黙ったままでいるニコの左手をつつき、セドナがにかっと笑う。
その発言にニコは唇を尖らせた。
「ぼくはマスターに作り直してもらったときからずっとこの顔ですが」
「ああ、俺の言い方が悪かった。
お前いっつもそーんな無表情でいるし、何考えてるのか分からねえし、たまに感情が出たと思えばびっくりするぐらい怖い顔してるときぐらいしかねえだろ?
……って、んな呑気に話してる場合じゃねえよ!」


