「っんの、人の話、聞きやがれぇーーーっ!!」
セドナは怒鳴った勢いで左手を横に引っ張る。
人間よりも軽いニコはそれだけで簡単に牡鹿から落とされた。
すぐにもう一方の手綱も握りしめ、思い切り引いて走りを止める。
「ちったあ落ち着けってんだよ、バカ野郎!」
「せ、セドナ……ニコさん大丈夫!?」
ケセラは牡鹿が止まってから、カタカタ震えながらニコとセドナを交互に見た。
起き上がって土を払い落とすニコの前にセドナが降りる。
ニコは唇を尖らした。
「何するんですか」
「目を覚ましてやったんだよ。
お前、今完全に周りのこと見えてなかったろ。
俺たちの存在をガン無視して突っ走るんじゃねえ。
見ろ、ケセラなんか軽く死線超えてたぞ!」
牡鹿の首にしがみついているケセラは、ニコが視線を向けると小刻みに頷いた。
しかしニコはピンとこないという表情のままである。
(この鈍感ゴーレムが……いらないことだったら人間の倍以上敏感に気づくくせに)


