この大一番で、難度の高い組み合わせを自信を持ってやってのけるムネヒロは、本当に巧い選手だ。


ただ……巧い奴なら、どうやっても勝てない奴なら、この数ヵ月、相手し続けてる。


ここまでの時間、ストリートボールと出会ってからの数ヵ月、一度も勝てなかったシスコンゴジラの顔が、俺の頭を過った。


「ン……オリャ!」


俺は、伸ばしても手は届かないと無意識のうちに悟り、本能のまま、右足一本でボールへスライディングした。


フロアにつく筈だったそのボールは、俺の太股にぶつかり、不可思議な方向へと飛んでいく。


「ボール……取るっ!」


そのままルーズボールになりそうだったボールに飛び付いたのは、ゴール下付近にいた筈のマカロン。


大きな掌がしっかりボールを掴み、滑る、崩れた体勢のままそのボールをフリースローラインの外にいるハーシーへ、信じて投げた。