「な、んで…喜んだ顔してるの?」

「え」



顔を上げた真子に聞かれて、今度はおれが、顔に手を当てる番だった。


手のひらに触れる口は、たしかにニンマリと嬉しそうな形になっている。



真っ赤になったまま、おれを見上げる真子。



「………」




…いろんな気持ちが、込み上げてきて。


いろんな、の中でも、多分1番は愛しいって気持ちで。



おれはコツンと、痛くないように。真子とおでこをくっつけた。



「…だっておれ、うれしーよ?」

「……えっ」

「真子がおれのことで、おだやかじゃなくなるの、うれしい」

「う、うれしいの?」

「うん」



すくいあげるように頬に触れると、真子の体が一気に硬くなる。


顔を寄せながら、触れるか触れないかのところで、おれは言った。



「…だいじょうぶ、力、ぬいて」



ほっぺたに、くちびるに。


軽いキスをするように指先でやわらかく触れていくと、真子の力が抜けていくのがわかる。