「わ、水谷くん見て!
これすごく綺麗だよ!」

「あー、待て。先に俺にも火くれ」

「はーい」



そっと近づいて、パチパチとブルーの光を吹くそこに自分の持っているものの先を寄せる。



シュー、────パァッ。

音を立てて火がつくと同時に距離をとった。



────俺たちは今、祭りから少し離れた人の少ない河川敷で花火をしている。



花火の出来るところがちょうど、大学3年生の兄の働いているカフェと近かったこともあって。

無事にライターとバケツを借りることが出来たんだ。



コンビニで蝋燭も手に入れていたし、花火をする準備はなんとかなった。



借りる時に、兄貴には無駄にニヤニヤした顔を向けられたけど。

夏目には3兄弟なんだー、と天然っぷりを発揮されたけどっ。



え、彼女? とかすぐ弄ってきて、あの男、本当にふざけるなよな。

しかもあれ、俺が誰とも付き合っていないことをわかった上で言っているからな。

たちが悪い。



それでも、今こうして楽しそうな彼女を見れたから。

まぁいい、かな。