『今日話したこと、見たことは全て、ナイショよ?』

魅惑的なウィンクと共に言葉を残して、先輩は空を飛んで帰って行った。

そのウィンクは悩殺モンだ。

もう、兄妹そろって魅惑的なんですね!そのフェロモンが羨ましいです。

しかし、なんてファンタジーなんだ。こんなの見せつけられたら、魔法を信じないわけにはいかないではないか。

パラレルワールドだって存在していると信じざるを得ないじゃないか。そんな実感なんて微塵もないから、まだ半信半疑ではあるけれど。

取り敢えず、世界は意外とファンタジーなんですね。

一つ利口になりました。

まぁ、私らのような夢巫女なんている時点で、ファンタジーなんて言っていられないのだが。


今日見て聞いたもの、全てを胸の中に、記憶の中に刻み付ける。

『ナイショよ?』

先輩の言葉が脳内でこだまする。


先輩にそんな風に言われたら、そりゃナイショにする他にないでしょう。言いふらそうとも思わないけれど。

万が一にも言いふらしたところで、誰もそんなこと信じないだろう。

色んな思いを胸に仕舞い込んで、


「ただいま」


玄関に入った。