「ふぇぇぇぇえええ!?」

大絶叫の私。

そこら辺の絶叫系アトラクションより、ずっとスリル満点だ。否、スリルしかない。命の危険をヒシヒシと感じる。

「ちゃんと掴まってて。落ちないように」

「お、落ちるぅぅうう!」

私は空を飛んでいる。

まるで鳥の、否、魔法使いの如く。


『もう暗いし、送って行ってあげるわ』

先輩の一言で、私は今、空を飛んでいるのであります。

無論、箒で。


そう、箒で!


先輩の後ろに乗せてもらった。想像としては、自転車の二人乗り、といったところか。しかし、自転車の二人乗りは危険なので、良い子はしてはいけませんぞ!

それに、危険度が桁違いだ。

星で評価するならば、星五つだ。


「大丈夫よ、落ちはしないわ。手を離さなければね」

いや、手を離さなくても、落ちます、落ちそうです!

「あ、確かこの辺だったわよね…月子ちゃん、手を離さないで」

その言葉の意味を理解する前に、体感した、急降下。

それは、突然始まる。

どんどん、家が近づいてくる。あぁ、我が家の鳥瞰図ってこんな感じなのか。

って、ちょっと、待って。




「ふぇっふぇぇぇぇぇえええ!?」



私の叫び声が町内中に響き渡った。