「「「キャアアアア!!」」」
これは、終礼も終わり、いざ部活へ!と意気込んでいる生徒たちの悲鳴である。同時にドタッと倒れる音が複数聞こえた。
何事かと出入り口を見れば、一人の女の先輩が立っていた。それがどうしたのかとも思ったのだが、次の瞬間原因は判明した。
「あ、いた、月子!」
私のよく知る声。無論その持ち主は、
「あ、藍羅先輩?」
私が尊敬して止まない、大好きな藍羅先輩。
私は鞄の準備もそのまま、出入り口へと駆け寄る。うちのクラスの出入り口のあたりで倒れる男女の群れ。どうやらこの美貌にやられたらしい。お気持ちは察します。
「どうしたんですか?先輩がこんなところに来るなんて…」
先輩が後輩のクラスに来ることは殆どなく、あの藍羅先輩によっては後輩である私のクラスに来ることなど今までなかった。有り得なかったのだ。
「いや、実は…」
先輩は眉をひそめた。
「あーいら!あぁ、ようやく見つけた!」
藍羅先輩はその声にびくっと肩を上下に震わせた。眉間にシワが寄っている。
「…何の用だ」
近づいてくる男子学生を睨みつける藍羅先輩。珍しいな。先輩が他人に対してこれでもかと言うほど嫌悪感をむき出しにするなんて初めて見た。
「えー?酷いなー。俺は藍羅に会いたいだけなのにー。ねー、君もそう思わない?って月子ちゃん!わぁ、君にも会えるなんて今日はいい日だなぁ」
近づいてきたのは、まるで絵本の中から飛び出してきた王子様のように整った顔立ちに爽やかな男子学生。それは私があったことある人で、それに気づいたときには叫んでいた。
「え、デューク先輩!?」
え、なんであのデューク先輩がここに!?
「藍羅を探していたらここに来ちゃった」
あは、と笑っている先輩。笑わないでください。その笑顔のせいで女子生徒が、ほら、ドタドタと倒れていきますから。先輩の笑顔に悩殺される女子学生、女性教職員の後が断たちませんから!その三分の一は藍羅先輩のせいなのだけど。


