「暦ばあ、お茶ありがとうねー。月子、また明日学校でー」

「お茶、美味かった。ご馳走になったな。月子、また明日」

にっこり微笑む美形な幼馴染二人。

笑顔の美しいことといったらない。

「そんなのお安い御用さ。またいつでもおいで」

「今日は本当にありがとう。また明日ね」


皆で、おやすみ、と言い合うと、二人は背を向けて歩き出した。

月明かりの下、肩を並べて歩く二人の姿は、もはやカップルにしか見えなかった。

あぁ、もうこのまま手を繋げばいいのに。寧ろ付き合っちゃえばいいのに。

美男美女のいいカップルになると思うんだけどなー? 私、全力で応援するんだけどなー?


二人の姿が完全に視界から消えたところで、おばあちゃんが私に話しかけた。

「さ、家に帰って晩ご飯にしようかねえ」

その瞬間鳴った、お腹の音。

恥ずかしくて俯きながら、お腹を押さえた。


「やれやれ。 二人はあんなに大人っぽくなったというのに、月子は変わらないねえ」

呆れているらしい。


「せ、生理現象だからしょうがないの! さ、早くご飯食べよ!」


恥ずかしさを隠すため、やれやれ、と肩をすくめるおばあちゃんから逃げるように私は家の中に入っていった。