「月子ちゃん、あんなに走って急いでいるんじゃないの?大丈夫?」
言われて気づいた。思い出した。血の気が引いて行くのを感じると同時に急いで腕時計を見る。あーっと、これは………
や・ば・い!
「すいません、ちょっと急ぎの用事があるので、失礼します!ぶつかってすいませんでした!」
ペコっと頭を下げてそのまま走る。
「え、あ、ちょっと!」
デューク先輩の声が聞こえるが、今はそれどころではない。
怒られる…怒られる…
藍羅先輩に、怒られる…
この先に待つ運命に恐怖を抱きつつも、私には走る以外に術はなかった。
窓の外を見ると、夕日と呼ぶにはまだ早い太陽が部活動に勤しむ生徒たちを照らしていた。否、生徒たちだけではなかった。全てを照らしていた。民家の家も、アスファルトも、全て。学校の近くに流れる川に反射して煌めき、美しいと思った。
しかし、今はそんな自然の美しさに心奪われている場合ではないのだ。早く行かなくてはならない。
「先輩!」
私は息を切らしながらも音楽室に駆け込む。なぜ音楽室なのかと言うと、そこで藍羅先輩と練習をするからだ。
次の演奏会で歌う新しい曲をいくつか伴奏と合わせることになっており、ついでに次の演奏会の曲目の詳細も決定することになっている。
別に音楽室でなくたっていいじゃないか、と思われるかもしれないが、アパート暮らしの先輩は家で練習することができない。ピアノが置いてある私の家で練習してもいいのだが、ちょっと事情がある家なのでそれは叶わない。
そのため、防音設備もあり、ピアノも置いてある音楽室を借りて練習している。
「走って来たのか?別にそこまで急がなくても良かったのに。」
先輩の姿に、一瞬目を奪われた。言葉を失ってしまった。
先輩は窓辺の席について、読書をなさっていた。ただそれだけ。しかし、あまりの美しさに、それだけで絵になってしまう。
あぁ、麗しい。先輩はどうしてこうも麗しいのだろう。
「いえ、後輩の分際で先輩を待たせるわけにはいきませんから!」
私は息を整えながら笑ってみせた。
私の唯一の先輩だ。それも全ての面において絶対的に尊敬して止まない藍羅先輩だ。礼儀を尽くすのは当然だろう。
言われて気づいた。思い出した。血の気が引いて行くのを感じると同時に急いで腕時計を見る。あーっと、これは………
や・ば・い!
「すいません、ちょっと急ぎの用事があるので、失礼します!ぶつかってすいませんでした!」
ペコっと頭を下げてそのまま走る。
「え、あ、ちょっと!」
デューク先輩の声が聞こえるが、今はそれどころではない。
怒られる…怒られる…
藍羅先輩に、怒られる…
この先に待つ運命に恐怖を抱きつつも、私には走る以外に術はなかった。
窓の外を見ると、夕日と呼ぶにはまだ早い太陽が部活動に勤しむ生徒たちを照らしていた。否、生徒たちだけではなかった。全てを照らしていた。民家の家も、アスファルトも、全て。学校の近くに流れる川に反射して煌めき、美しいと思った。
しかし、今はそんな自然の美しさに心奪われている場合ではないのだ。早く行かなくてはならない。
「先輩!」
私は息を切らしながらも音楽室に駆け込む。なぜ音楽室なのかと言うと、そこで藍羅先輩と練習をするからだ。
次の演奏会で歌う新しい曲をいくつか伴奏と合わせることになっており、ついでに次の演奏会の曲目の詳細も決定することになっている。
別に音楽室でなくたっていいじゃないか、と思われるかもしれないが、アパート暮らしの先輩は家で練習することができない。ピアノが置いてある私の家で練習してもいいのだが、ちょっと事情がある家なのでそれは叶わない。
そのため、防音設備もあり、ピアノも置いてある音楽室を借りて練習している。
「走って来たのか?別にそこまで急がなくても良かったのに。」
先輩の姿に、一瞬目を奪われた。言葉を失ってしまった。
先輩は窓辺の席について、読書をなさっていた。ただそれだけ。しかし、あまりの美しさに、それだけで絵になってしまう。
あぁ、麗しい。先輩はどうしてこうも麗しいのだろう。
「いえ、後輩の分際で先輩を待たせるわけにはいきませんから!」
私は息を整えながら笑ってみせた。
私の唯一の先輩だ。それも全ての面において絶対的に尊敬して止まない藍羅先輩だ。礼儀を尽くすのは当然だろう。


