天使のアリア––翼の記憶––

あまりにも整いすぎた顔。爽やかな可愛い系のお顔立ち。

愛想が良さそうな口調に、優しそうな雰囲気。

立ち上がって分かった、スラリと高い背。


あぁ、絵本の中の王子様ってこういう人のことを言うのだろう。


「あれ、もしかして君は…華原月子さん?」

「え?は、はい…」


どうして私の名前を知ってるんだろう…?っていうか、どなた…?

私はあんまり他の人のことを知らない。人の名前と顔を暗記するのが苦手だ。だから全校生徒なんてとても覚えていない。見たことはあるな、くらいの人ばかり。

だけど、この人は見たことすらない。こんなカッコイイ人校内にいたのか…初めて知った。もっと早く知りたかったよ。


「あ、あの…」

「あぁ、ごめん俺、名乗っていなかったね。俺は、日向デューク。今日転校してきたんだ。どうぞよろしく、月子ちゃん。」

ニッコリ微笑まれた。きっと悩殺モンなんだろうけど、今の私はそれどころではなかった。



今…今何て言った?


今日転校してきた…?



日向デューク…?




それってもしかして



「噂の、転校生…?」



思わず呟いてしまった。

慌てて口を両手で塞いだ。嫌だな、本人がここにいるのに、目の前にいるのに、こんなことを口に出してしまうなんて…!私、阿呆だ。ウサギの言ってた通りになってしまうではないか!

恥ずかしさと申し訳なさのあまり、私は赤面してしまった。