天使のアリア––翼の記憶––



―-キーンコーン・・・


放課を告げるチャイムが鳴り響く。

それと同時に、私は帰る支度を始める。学校指定のスクールバックにせっせと教科書類を放り込む。

この後すぐに藍羅先輩と会う約束をしているのだ。先輩を待たせるわけにはいかない。


「月子、急いでるのー?」

「うん、藍羅先輩と会うからね。」

すると前の席のウサギが話に入ってきた。


「お前、藍羅先輩と会うのかよ。」

「そう。羨ましい?」

手を止め、ニヤっと笑って見せる。不敵な笑みってやつ。できているかどうかは分からないけれど。

するとウサギは顔を赤くして

「んなわけあるか!」

あーあ、叫んじゃった。こういう感情的になるところ、昔から変わっていない。単純だ。


そしてまた私は手を動かしながら

「あっそ。」

わざとそっけなく言ってやった。こんなウサギヤローのせいで先輩を待たせるなんてそんなのダメだ。時間がもったいない。


「なってめっ!」


ウサギは顔から湯気がでそうなほどのお怒り状態なのだが

「落ち着いて、ウサギー。」

ふんわりと乙葉が介入する。

いつもながら気が抜ける空気感である。その空気感にいつも癒されてはいるのだけれども。私は彼女ほど喧嘩の仲介役に相応しい人物は知らない。

すっかり乙葉の空気感で気が抜けたウサギは放っておいて、スクールバッグを右肩にかけた。

それに気づいた乙葉が私に呼びかけた。


「もう行くのー?」

「うん、会ってくるよ。」

聞きたいこともあるし。先輩あの曲知ってるのかな…?