「仮にあいつを生き返らせることができたとしても、また同じことが起こる。くだらない差別のせいで、また救われるべき命は見過ごされるのだ。そしてそれは差別がある限り決して終わることなどない!」
そして彼は強く言った。
「くだらぬこの世を変えられるのは、その身をもって苦しみを味わってきた、我らが竹取会のみ!私は竹取会の旦那としてこのくだらぬ考えが蔓延る世の中の頂点に立ち、この苦しみの連鎖を断ち切る!
そのために力を欲しているのだ!」
彼の強い言の葉はホールに響いた。
残響に耳を澄ませながら、私は彼の言った言葉を考えていた。
彼の悲しみも苦しみも、そして覚悟も、苦しいほど伝わってきた。
彼が世界の頂点に立つと言った理由も、無理もなかったことなのかもしれない。
…だけど。
「違う…」
私には、分からない。理解できない。
彼の辛い過去には同情する。
世界の頂点に立つという考え方が発生することも、無理もないことなのかもしれないとは思う。
だけど、だからと言って、彼の考えは納得はできない。
受け入れられない。
自分が世界の頂点に立って、差別を止める。
それが自分の願いだと、彼は言う。
「それって間違っていませんか?」
私の声が静かになったホールに響く。
「…なんだと?」
ギロリと鋭く睨みつけられた。
これ以上言ったら、殺されかねない。
けれど私は躊躇わない。
この戦いの終わらせ方はきっと、竹取会を叩きのめすことではない。
彼から怒りと憎しみを取り除かなければ、終わらない。
ぎゅっと両手の拳を握って、私はその目をまっすぐ見つめた。
きっと、目を逸らしたら伝わらない。
何一つ、伝わるものはない。
「あなたの本当の願いは、世界の頂点に立つなんてことじゃない。貴方の本当の願いは、貴方の大切なひとの笑顔をもう1度見ることだったでしょう?」
「…死んだ者は、どんな手段を使ったって、もう2度と戻ってはこない。超能力を使おうと、歌姫の力を使おうと、亡くした命は絶対に戻らない!何があってもだ!」
彼の叫びには、怒りと悲しみが勢いよく溢れ出したような、そんな苦しさがあった。
「だから私はもう2度と差別などというくだらないことで命が失われぬよう、世界の頂点に立って…」
「もし貴方が世界の頂点に立てたら、貴方は、貴方の大切なひとは、それで幸せになれるんですか?」
彼は黙った。
目を見開いている。
そんな彼を見つめながら、私はゆっくりと言葉を続けた。
「貴方はきっとそれでは幸せになれない。貴方の本当の願いは、貴方の大切なひとの笑顔をもう一度見ることだから」
私は思う。
彼はきっと果てしない悲しみの渦に飲まれてしまったのだろう、と。
そして、もう2度とこんなことで悲しみたくないと強く、強く思ったのだろう。
憎しみが生まれるほどに。
「黙れ、クソガキ!」
彼は黄金に憎しみと怒りを一杯に溜めて私を睨む。
けれど私は不思議と怖いとは思わなかった。
彼が怒る理由はきっと、私の言葉が図星だったからだろうと思った。
そして彼は強く言った。
「くだらぬこの世を変えられるのは、その身をもって苦しみを味わってきた、我らが竹取会のみ!私は竹取会の旦那としてこのくだらぬ考えが蔓延る世の中の頂点に立ち、この苦しみの連鎖を断ち切る!
そのために力を欲しているのだ!」
彼の強い言の葉はホールに響いた。
残響に耳を澄ませながら、私は彼の言った言葉を考えていた。
彼の悲しみも苦しみも、そして覚悟も、苦しいほど伝わってきた。
彼が世界の頂点に立つと言った理由も、無理もなかったことなのかもしれない。
…だけど。
「違う…」
私には、分からない。理解できない。
彼の辛い過去には同情する。
世界の頂点に立つという考え方が発生することも、無理もないことなのかもしれないとは思う。
だけど、だからと言って、彼の考えは納得はできない。
受け入れられない。
自分が世界の頂点に立って、差別を止める。
それが自分の願いだと、彼は言う。
「それって間違っていませんか?」
私の声が静かになったホールに響く。
「…なんだと?」
ギロリと鋭く睨みつけられた。
これ以上言ったら、殺されかねない。
けれど私は躊躇わない。
この戦いの終わらせ方はきっと、竹取会を叩きのめすことではない。
彼から怒りと憎しみを取り除かなければ、終わらない。
ぎゅっと両手の拳を握って、私はその目をまっすぐ見つめた。
きっと、目を逸らしたら伝わらない。
何一つ、伝わるものはない。
「あなたの本当の願いは、世界の頂点に立つなんてことじゃない。貴方の本当の願いは、貴方の大切なひとの笑顔をもう1度見ることだったでしょう?」
「…死んだ者は、どんな手段を使ったって、もう2度と戻ってはこない。超能力を使おうと、歌姫の力を使おうと、亡くした命は絶対に戻らない!何があってもだ!」
彼の叫びには、怒りと悲しみが勢いよく溢れ出したような、そんな苦しさがあった。
「だから私はもう2度と差別などというくだらないことで命が失われぬよう、世界の頂点に立って…」
「もし貴方が世界の頂点に立てたら、貴方は、貴方の大切なひとは、それで幸せになれるんですか?」
彼は黙った。
目を見開いている。
そんな彼を見つめながら、私はゆっくりと言葉を続けた。
「貴方はきっとそれでは幸せになれない。貴方の本当の願いは、貴方の大切なひとの笑顔をもう一度見ることだから」
私は思う。
彼はきっと果てしない悲しみの渦に飲まれてしまったのだろう、と。
そして、もう2度とこんなことで悲しみたくないと強く、強く思ったのだろう。
憎しみが生まれるほどに。
「黙れ、クソガキ!」
彼は黄金に憎しみと怒りを一杯に溜めて私を睨む。
けれど私は不思議と怖いとは思わなかった。
彼が怒る理由はきっと、私の言葉が図星だったからだろうと思った。


