天使のアリア––翼の記憶––

2人とも、同じ瞳を持っている。

宝石みたいな青と黄金の瞳。


「ディ、ディナちゃん?」


私は聞いた。


「ディナちゃんのお兄ちゃんって、もしかして…」



するとディナちゃんは微笑んだ。


「おにいちゃんはおにいちゃんだよ!」


ねー、と言いながらデューク先輩にぎゅーっとしがみついた。


ディナちゃんの名字は美門。

デューク先輩の本名は、美門・デューク・翼。


つまり。


「デューク先輩とディナちゃんは、兄妹!?」


ディナちゃんはとびきりの笑顔で言った。


「そうだよ。ねー、おにいちゃん!」


デューク先輩は複雑そうな顔をして微笑んだ。


「……まさか月子ちゃんがディナと知り合いだとは思わなかったよ」


「私もまさかディナちゃんのお兄さんがデューク先輩だったとは思ってもいませんでした」


ディナちゃんの病室に飾ってあった家族写真の、あの美しい少年が、まさかデューク先輩だったとは。


ちょっと、待って。

デューク先輩がディナちゃんのお兄ちゃんだということは、病室に飾られていたもう一つの写真を送ったのはデューク先輩ってことだよね。

あの写真に写っていたのは命の木だとディナちゃんは言っていた。

命の木、あれは杉の木だったように思うが、あの花言葉は、確か……。


「ねぇ、おにいちゃんはどうしてここにいるの?なんで、ステージがこわれてるの?ねぇ、どうして?」

天真爛漫な彼女は笑顔で尋ねる。

「うーん。どうしてかな」

デューク先輩は彼女を抱き上げた。

「おにいちゃん、ねえ、なんで? おしえてよ。おにいちゃんはしってるんでしょ? ねえ、おしえてってばあ!」

不満そうな顔をしているディナちゃんに、デューク先輩は笑った。

「また教えてあげるよ。そうだね、ディナが目を覚ました時に」

そう言って、右手の人差し指をディナちゃんの眉間に置いた。


「今は少しお休み、ディナ」


とろんと青と黄金は瞼に隠れていった。

眠ったディナちゃんを客席の椅子に寝かせて、こちらを振り返った。


「ディナにはこんなことを見せたくないし、知らせたくもないからね」


そして鋭く環と呼ばれた彼を睨みつけた。


「で、どういう意味かな。俺が勘違いをしているって」


口調こそ穏やかだが、その雰囲気は殺意さえ感じるほど鋭くてまがまがしかった。


「そのままの意味です。あなたは酷い勘違いをしている」

「何を勘違いしているというのかな」

「全てです」

環と呼ばれた彼は嘆かわしそうに眉をひそめた。