天使のアリア––翼の記憶––

「私こそ、ごめんね。気を遣わせて、ごめんね」


2人は顔を上げた。驚いた顔をしている。

私はそんな心優しい彼らに微笑みかけた。


「私のことを考えて、守ろうとしてくれて、ありがとう」


私を思ってくれているのと同じように、私も彼らが大好きだから。

だから、これからは。


「私も一緒に戦いたい」


大切な人達を守るために。

大切な人達と共に。


何の力がなくたって、何かできることがあるはず。

今は何もできなくたって、できるようになりたい。

役に立てるように。

大切な人を守れるように。


じっと見つめていると、ウサギも乙葉も、微笑んでくれた。



「俺には夢巫女のように未来を夢で見る力はない。あるのは、超能力だけ。他人が見た未来を盗み見る力だけ」


デューク先輩は呟くように言った。

それでハッと視線を戻す。


「俺はその力を使って、月読が見た未来を見た」


先輩はゆっくりと動き出した。


「"歌姫の心を打ち抜いた者は願いを叶えられる"」


デューク先輩はパンと手を叩き、そしてゆっくりと弓矢を持つポーズをした。

するとどこからともなく、先輩のポーズに合わせるように、うっすらと弓矢が現れた。

デューク先輩の力が集まって弓矢を構成していくような、そんな感じ。

次第に色濃くなっていった弓矢は、ライトに黒く煌めいた。


「心、すなわち、heart。heartは日本語で心臓。つまり、心とは心臓のことだ」


並べられた無機質な言葉は残酷さを増していく。


「デューク先輩、やめて!」


嫌な予感が全身を駆け巡り、声の限り叫ぶ。



「つまり、藍羅、君の心臓を射抜けば願いは叶う。そういうことだよね」



先輩が握る弓矢の矢先がライトに残酷に煌めく。





「藍羅、好きだよ」




悲しいくらい切ないその言葉は空間に響いた。