「だからー、言ったでしょー?」
乙葉が両手に握っていた拳銃の銃口から煙が立ち上っている。
どうやら乙葉があの一瞬のうちに懐から拳銃を取り出して撃ったらしい。
彼女の横には鏡花と呼ばれた刀が転がっている。
「あんたらの動きなんて止まって見えるんだってー。私ー、止まった的は外さないんだよねー」
それにさー、と乙葉は言葉をつづけた。
「銃に関して私に勝てるなんて思わないでよねー?」
そして右手に持った拳銃を背中にかけるようにして、乙葉は言った。
「てめぇら、弱すぎなんだよ」
…先ほどの言葉は、学校のアイドル、マイナスイオンを発生させているような癒し系の天使、そして我が幼馴染にして大親友の、綾崎乙葉様が発せられたお言葉なのでしょうか。
信じられずに凝視する。
いつもの女の子らしい癒し系のふんわりした雰囲気はみじんも感じられず、豪快で力強くて、ボーイッシュでサバサバとした雰囲気を纏っている。
…か、かっこいい。
かっこいいけれど、いつもとのギャップに動揺を隠せない。
よく分からない胸の高鳴りは放っておいて、周りを見渡せば、敵はデューク先輩以外皆倒れていた。
「さぁ、デューク、どうするのかしら?」
七星先輩が言った。
「もう味方はいないみたいよ?」
デューク先輩は、本当だね、薄く笑った。
笑っているのに口調がとても冷たかった。
「使えない」
そして倒れている彼らに手をかざした。
カッと目を見開くと、彼らは散り散りに飛んだ。
仲間に使えないと言うことや、酷い扱いをすることさえも信じられないのに、それをデューク先輩がやっているのだからもっと信じられない。
「…七星達も、もう俺の邪魔はしないでほしいな」
目だけを七星先輩の方に向けて言った。
その右目は、いつも学校で見かけていた黒ではなく黄金に輝いているように見えた。
…前にも見たことがあったような気がする。
そう、確か、デューク先輩が私を竹取会から守ってくれた時。
あのとき、デューク先輩の右眼は確かに黄金だった。
あの時は見間違いかもしれないと思ったが、今は違う。
確実に黒色が金色に変化していた。
「邪魔をするななんて言われて、私達が邪魔をしないと思うの?」
七星先輩とデューク先輩は互いに苦笑した。


