天使のアリア––翼の記憶––

ホールに響いたさっきの声は、本当にデューク先輩のものだったのだろうか。

信じられない、否、信じたくない。

目の前のこと全て夢であってほしいと思うのは、嘘であってほしいと願うのは、私が弱いからかもしれない。

これから始まる戦いを、覚悟できていないからかもしれない。

それでも、思い出して仕方がない。

バカップルみたいに藍羅先輩とイチャつくデューク先輩の微笑みを。

藍羅先輩を見て愛おしそうに優しく微笑むデューク先輩の顔を。

胸が痛んだ。

戦わなくてはならないのだと分かっていても、今まで仲間だと思っていた人と対峙するのは、こんなにも辛いものなのか。

「デューク…貴方と戦わなければならない日が来るなんてね」

「七星は分かっていただろう、いつかこの日が訪れることを。俺達は同じものを望んでいるんだから」

デューク先輩は笑った顔のまま残酷に言葉を紡いでいく。



「どんな願いだって叶えてくれる、天使の歌姫をね」



デューク先輩の目は座っていた。


「えぇ。分かっていたわよ、最初からね。それでも祈っていたわ、貴方と戦わずに済む未来を。貴方は私の友達だから」

「友達…ね。そんな風に思っていてくれたんだね、俺の正体を知っていたのに。だけど、今からは違う。俺達は敵同士。俺は七星達にとって憎い敵なんだ」


自嘲気味にフッと笑って、今度は私達に向かっていつもと同じように微笑んだ。






「さぁ、改めて自己紹介をしないといけないね。




俺は竹取会の若旦那、





美門・デューク・翼だ」






デュークって気軽に呼んでね、と微笑む。

あの日、廊下でぶつかったあの時に見せてくれたのと同じ笑顔で。