*
一歩踏み出す。
それだけで胸が潰れそうになった。
ふと窓の外を見れば、薄暗い世界が広がっている。
いつもならこの時間帯、優しい暖色の光で溢れる廊下も、今日は分厚い雲に阻まれ届かない。
寒々しい蛍光灯の白い明かりが代わりに照らしていた。
あぁ、ただでさえ暗い気持ちなのに、余計に気持ちが悪化する。
でも、私がそんなことを考えてはいけない。
私にはそんな資格さえないのだから。
とぼとぼと決して軽くない足取りで約束の場所へと続く廊下に出れば、外が近いためか、湿っぽい雨のにおいが鼻をくすぐった。
ふと顔を上げれば校舎の外と内を仕切るガラス戸の向こう側、自販機前の空間が見えた。
そこにウサギの姿を見た私の心臓がどくんと跳ねる。
苦しくて、苦しくて、息が詰まりそうになった。
一歩一歩、不安定な足場を確認するように廊下を歩く。
約束の場所へ。
ウサギの待つ場所へ。
どうか、お願いです。
今だけ。
今だけ、私に勇気をください。
私はこれから私の大切な人に、伝えなくてはならないことがあるのです。
そう祈ろうとして、足を止めた。
違う。
そうじゃない。
私が今からしようとしていることは、「伝えなくてはならない」だなんて、甘く優しい、綺麗な言葉では言い表せない。
もっともっと、罪深い言葉でなければならない。
私は、許されない行為をしようとしているのだから。
一歩踏み出す。
それだけで胸が潰れそうになった。
ふと窓の外を見れば、薄暗い世界が広がっている。
いつもならこの時間帯、優しい暖色の光で溢れる廊下も、今日は分厚い雲に阻まれ届かない。
寒々しい蛍光灯の白い明かりが代わりに照らしていた。
あぁ、ただでさえ暗い気持ちなのに、余計に気持ちが悪化する。
でも、私がそんなことを考えてはいけない。
私にはそんな資格さえないのだから。
とぼとぼと決して軽くない足取りで約束の場所へと続く廊下に出れば、外が近いためか、湿っぽい雨のにおいが鼻をくすぐった。
ふと顔を上げれば校舎の外と内を仕切るガラス戸の向こう側、自販機前の空間が見えた。
そこにウサギの姿を見た私の心臓がどくんと跳ねる。
苦しくて、苦しくて、息が詰まりそうになった。
一歩一歩、不安定な足場を確認するように廊下を歩く。
約束の場所へ。
ウサギの待つ場所へ。
どうか、お願いです。
今だけ。
今だけ、私に勇気をください。
私はこれから私の大切な人に、伝えなくてはならないことがあるのです。
そう祈ろうとして、足を止めた。
違う。
そうじゃない。
私が今からしようとしていることは、「伝えなくてはならない」だなんて、甘く優しい、綺麗な言葉では言い表せない。
もっともっと、罪深い言葉でなければならない。
私は、許されない行為をしようとしているのだから。


