天使のアリア––翼の記憶––




「…なるほどね」

事の経緯を全て話した。


ウサギに告白されたこと。

そしてウサギと付き合うべきか否か、という返答に困っていること。


この訳の分からない感情を持ったままウサギと付き合えば、後に私はウサギを傷つけるだろう。

ウサギの私に対する"好き"と、私のウサギに対する"好き"は、別の感情だから。

その差に気づいたウサギはきっと傷つく。

こんなにも好きなのに、と嘆くだろう。

私も私で、傷つくと思う。

こんなにも愛されてるのに私はウサギと同じほど好きでいることができないと、罪悪感に苛まれて。


けれど、そうだからと言って振ってしまえば、私は確実にウサギを傷つけてしまう。


どんな選択をしたって、結局私はウサギを傷つけてしまうのだ。


あんなにも、あんなにも優しい人を。


どうしたら、ウサギを傷つけずに済むのだろう。

私は、どうしたらいいのだろう。


すると、北斗先輩が言った。

「馬鹿」

たった一言そう言って、呆れたように私を見ている。

「え、ば、馬鹿って…」

そりゃ、私自身馬鹿だとは思っているけれど…。

「何で、考えるの、そんなこと」

「え?」

「月子が考るべきこと、他にあるでしょ」

はぁ、と溜息をついた北斗先輩の真意が分からない。

先輩は、何を言いたいのだろう。

私が考えるべきことって、何…?


困り果てて七星先輩を見れば、すごく切ない優しい微笑みを浮かべている。

「北斗の言う通りよ。月子ちゃんが今考えなくてはいけないのは、どうすればいいのか、ではないわ」

「え…?」

訳がわからなくて、聞き返す。


「月子ちゃんがどうしたいのか、よ」


「私が…どうしたいのか?」