明日、何て言おう。
ウサギに、何て言おう。
そればかりが頭の中を駆け巡る。
どうすればいい?
私は何て言えばいい?
どうにかこの問題を解決させるための方法を考えようとするのだけれど、その度にウサギの言葉を、ウサギの顔を、思い出してしまう。
それで思考回路はウサギになってしまうのだ。
…解決策なんて、考えられやしない。
本当に、どうしたらいいんだろう。
どうしたら、ウサギを傷つけなくて済むの。
そんなことを悶々と考えていると、声が聞こえてきた。
「月子ちゃん…?」
ハッと顔を上げると、七星先輩がいた。
「あ…七星先輩、こんにちは!」
ニコッと笑顔を作る。
そうすれば、いつも抜群の笑顔をくれる。
そのはずなのに、今回は違った。
顔が、少し強張っている。
「こんにちは…」
「奇遇ですね、こんなところで会うなんて! あれ、先輩、今部活じゃないんですか?」
七星先輩が私の明るさに少し戸惑っているのはヒシヒシと伝わってくるのだけど、私はそれを無視して、笑顔を作って、わざと元気そうに、いつも通りに振舞う。
きっと七星先輩はいつもより元気のない私のことを見抜いていて、そして心配してくれているのだろう。
けれど、心配なんてしてほしくない。
私の為に、心配なんて。
ありがたいけれど、私は、大丈夫だから。
大丈夫、だから。
「そうね…まぁ、大丈夫よ。心配いらないわ」
先輩はそれ以上は何も言わないで、隣に座ってくれた。
本当に優しい先輩だ。
遠くから部活動に勤しむ声が聞こえてくる。
雨が降っているこんな土砂降りの日にも部活だなんて、部活をしていない万年帰宅部の自分が何だか申し訳なく感じる。


