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1週間というのは、あっというまで。
6日前、遠征に出かけたウサギがついに明日、帰って来る。
試合はといえば、もちろん勝利。
特に、期待の新入部員―ウサギ―の活躍が目立ったそうだ。
そのニュースはあっという間に全校に広まってしまった。
今では廊下を歩いてウサギの話を聞かないことがないほど、全校生徒の注目の的になっている。
乙葉はそのことをまるで自分のことのように喜んでいた。
いつも以上にニコニコしていて、見ているこちらまで笑顔にしてくれる。
まるで天使のようなその可憐で優しい癒し系の笑顔は、学園中の生徒、教職員を虜にしており、学園内での人気が急激に高まっている。
その人気の度合いは、一説によれば藍羅先輩人気と同等とまで言われており、学園の美人二大巨頭となっている。
私はといえば、ウサギという単語を聞くたび、心をかき回されていた。
今日、ウサギが帰って来るというのに。
私の答えは、まだ出ていない。
「はぁ…」
何度目かの溜息をついて空を見上げる。
今日は暗い雲からしとしとと雨が降っている。
もうじき梅雨が明けるのではとニュースは言っているが、私の心の中は当分曇天模様だろう。雨まで降り出しそうな程である。
藍羅先輩との練習がない今日は、何だかそのまま家に帰る気にもなれず、放課になると当てもなく校内をさまよっていた。
気が付けば、私は学校のカフェテリアの隣にある通路にいた。
屋根だけがついた、屋外に面した通路であるそこは、二つの自動販売機があり、ベンチまである。
いつもは利用客が多く込み合っているのだけれど、部活をしているこの時間帯はあまり人がいない。
ここを利用するにはいちばんベストな時間帯だ。
ベンチに座り込むと、隣には紫陽花が咲いていた。
アルカリ土壌のせいか、その花の色は青だった。


