天使のアリア––翼の記憶––

「何だと!? まさかお前もエスパーか!」

エスパー、という言葉を男が発した時、北斗先輩の眉毛がピクリと動き、七星先輩の笑顔がなくなった。

「エスパー、違う」

「そうよ。ちょっと力が使えるだけの人間と一緒にしないで」

いつもより、口調が強い。

2人とも嫌悪感を露わにしている。

「私達は魔法使い。人間とは別よ」

腕を組んで、七星先輩が言った。

「魔法使いだと? ふざけたことをぬかしてんじゃねぇ!」

苛立つように男が拳銃を撃った。

「だから、そんな鉄の弾なんて私達には通用しないとさっき証明したでしょう?」

もう一度先輩が棒を振ると、銀の弾丸が空中で静止した。

弾丸は空中に止まったまま街灯の光を受けて輝く。

双子の魔法使いを除く全員が目を見開いた。

さっきの出来事も、すべて幻じゃなくて現実なんだと突きつけられた。

「それに、貴方達ならこのことを理解できるんじゃないかしら? 何てったって"あの"竹取会だものね?」

ふふ、と笑った七星先輩に、誰も勝てないと思った。

「クソが!」

男が悔しそうに言葉を吐き出した。


「大丈夫。命、取らない」

無機質で、温度のない北斗先輩の声が響いた。

命は取らないと言っているのに、心が冷えるように恐ろしい。

「本当は再起不能にしたっていいと思うけど。まぁ、今日は勘弁してあげるわ」

先輩達は不敵に笑った。


「覚えておいて。歌姫の存在を知っているのは、歌姫を望んでいるのは、貴方達だけじゃない」


一瞬だけ、七星先輩の紅が私を見つめた。

その貴方達という言葉に、私も含まれているのだと本能的に思った。

まるで胸を鷲掴みにされたようで。

息が、苦しい。

胸が、重い。