天使のアリア––翼の記憶––

「雑談はここまでだ、小僧ども!」

男が狂ったように声をあげた。

「小僧も一緒に葬ってくれる!」

よく喋る男がそう言うと、私達を囲んでいた男達が拳銃を構え、銃口を向けた。

よく喋る男と、先ほどウサギに拳銃を真っ二つにされた男はもう拳銃がないのか、構えなかったけれど。

ウサギは刀を握る手に力を込めた。私の手を握る乙葉の手の力も強くなる。

拳銃の真っ黒な体は、街灯のオレンジを反射して光っている。

次の一瞬、私は生きてるのかな。

そんな疑問が頭を過る。

きっと生きてないのかもしれない。

そこから繰り出される弾が、私の体を貫くんだろう。

そして私は死んでしまうのだろう。

ウサギや乙葉は運動神経が抜群だから、きっと一発くらいなら避けられるのかもしれない。

けれど3人に囲まれて、運動神経のない私を庇ってくれているこの状況じゃ、避けきれないと思う。

3人一緒に、死ぬのかな。

明日の新聞の一面はこれで決まりだね。

高校生3人銃で撃たれ死亡、って。

地方紙にも、全国紙にも、ニュース番組にも取り上げられたりして。

そんなことになったら、私達は3日間くらいは有名人になれるのかも。

そんな哀しい想像が頭をかすめた。

私達を囲む男が拳銃の引き金を引こうとした、その時だった。


「高校生、3人、銃殺、なんて」

「そんな悲しい一面、私達がさせないわ」


ハッとその声のする方を見ると、見覚えのあるシルエットが2つ…って!

「北斗先輩と七星先輩!?」

「どうしてこんなところにー!?」

乙葉も驚きを隠せないでいる。

ウサギは黙ったまま目を見開いていた。

「誰だ、てめぇら!」

男が睨みつけるも、全然怖がる様子もない。

普通、こういう危ない人達を見たら怖がったりしない? 私だったら絶対そうなんですけど。

私の周りの人達って度胸がありすぎだと思うんですが。