天使のアリア––翼の記憶––

家に帰り制服を着替えると、ベッドに倒れこんだ。

ドクンドクンと心臓は音をたてていて、私を苦しめる。

分からない。分からないよ。

ウサギがあんな真剣な顔をしていたことも、ドクンドクンと大きな音を立てる私の心臓も。

どうして分からないんだろう。

自分のことなのに。

分かろうとする度に、ますます分からなくなる。

答えを求める度に、遠ざかる。

胸が締め付けられるように痛い。苦しくて、切なくて、ウサギのことばかり考えてしまう。


どうして苦しいの。

どうして胸が痛いの。

どうして、どうして。そう問うても答えなんか出てくるはずはないのに、問うことはやめられなくて。


いつも私を馬鹿にしてくるマヌケな顔をしたウサギ。

こちらまで元気になるような、明るい笑顔をするウサギ。

私を守ってくれた時の真剣な顔をしたウサギ。

幼い頃から今までの、いろんな表情をしたウサギが頭に浮かんで離れない。


…バカウサギのくせに、調子に乗らないでよ。

勝手に私の頭の中を占領しないで。

決して、好き、なんかじゃないのに。

絶対絶対、違うのに。

それなのに、どうして、こんなに……。


『俺はお前が可愛くないとか、そんなこと思ったことねぇよ』


……こんなに、頭の中で反響して私から離れてくれないの。





あぁ、どうしてこんなに





あたしの脳内はウサギで溢れているの。