「藍羅さん、またこのホールで歌ってくださらぬか?」
「勿論。」
ニコっと笑った先輩に完璧にノックアウトされた副館長さんは鼻から血を出し応接室から退場した。
言ってはいけないのだが、正直安心した。良かった、先輩に手を出す前に退出してくれて。
「月子?」
「ふぇいっ!?」
ついそんなこと考えていたら、先輩に覗き込まれた。
いきなり視界に入ってきた顔が美形すぎて倒れるかと思いました。そのせいで心臓の鼓動が異常に速いです。寿命が縮まっていくのを、この月子、実感しておりますぞ。
「何ボーッとしているんだ?疲れたか?あたし達ももう帰るぞ。」
「あ、はい!館長さんありがとうございました!」
立ち上がりペコっとお辞儀をした。
「いえいえ、月子さんの伴奏も素敵でした。さすが月子さんですな。私共の主催するコンクール最多優勝者は違いますな。」
優しく微笑まれた。褒めてもらえるのは嬉しいけど…
「…ありがとうございます。でも、今日の演奏会が成功したことに関しては、コンクール優勝したとかしていないとか、そんなのは関係ありません。」
館長さんは意味がわからないというような顔をした。
「私のピアノが素敵に聞こえたのは、先輩の歌があったからです。」
私が弾くピアノの音だけじゃ、ここまで感動しない。それがプロの演奏でも。
もちろん、先輩の歌もそれだけじゃ、ここまで感動しない。いくら天使の歌声と称されていても。
「今日の演奏は、先輩の歌と私の伴奏があって初めて成立するんです。」
コンクールで優勝するような技術があったから、天使の歌声だから、それだけでは成功しない。両方があったから、成功したんだ。
厳密に言うと、それだけではない。
今日のコンサートを成功させたいという強い想いがあったから成功したんだ
音楽は技術じゃない、心だから。
そうですよね?と先輩に視線を送ると、先輩は微笑んでくれた。館長さんも納得した表情をしてくれた。
「それはそうですな。いやー、こんなことも気づかぬ老いぼれですまなかった。こんなことも忘れていたとは、いやー自分が恥ずかしい。ありがとう。私は今思い出せたよ、"音楽"を。」
館長さんは遠い目をしていた。何かを懐かしんでいるような目だった。
そんな館長さんと別れ、私達はコンサートホールを後にした。
「勿論。」
ニコっと笑った先輩に完璧にノックアウトされた副館長さんは鼻から血を出し応接室から退場した。
言ってはいけないのだが、正直安心した。良かった、先輩に手を出す前に退出してくれて。
「月子?」
「ふぇいっ!?」
ついそんなこと考えていたら、先輩に覗き込まれた。
いきなり視界に入ってきた顔が美形すぎて倒れるかと思いました。そのせいで心臓の鼓動が異常に速いです。寿命が縮まっていくのを、この月子、実感しておりますぞ。
「何ボーッとしているんだ?疲れたか?あたし達ももう帰るぞ。」
「あ、はい!館長さんありがとうございました!」
立ち上がりペコっとお辞儀をした。
「いえいえ、月子さんの伴奏も素敵でした。さすが月子さんですな。私共の主催するコンクール最多優勝者は違いますな。」
優しく微笑まれた。褒めてもらえるのは嬉しいけど…
「…ありがとうございます。でも、今日の演奏会が成功したことに関しては、コンクール優勝したとかしていないとか、そんなのは関係ありません。」
館長さんは意味がわからないというような顔をした。
「私のピアノが素敵に聞こえたのは、先輩の歌があったからです。」
私が弾くピアノの音だけじゃ、ここまで感動しない。それがプロの演奏でも。
もちろん、先輩の歌もそれだけじゃ、ここまで感動しない。いくら天使の歌声と称されていても。
「今日の演奏は、先輩の歌と私の伴奏があって初めて成立するんです。」
コンクールで優勝するような技術があったから、天使の歌声だから、それだけでは成功しない。両方があったから、成功したんだ。
厳密に言うと、それだけではない。
今日のコンサートを成功させたいという強い想いがあったから成功したんだ
音楽は技術じゃない、心だから。
そうですよね?と先輩に視線を送ると、先輩は微笑んでくれた。館長さんも納得した表情をしてくれた。
「それはそうですな。いやー、こんなことも気づかぬ老いぼれですまなかった。こんなことも忘れていたとは、いやー自分が恥ずかしい。ありがとう。私は今思い出せたよ、"音楽"を。」
館長さんは遠い目をしていた。何かを懐かしんでいるような目だった。
そんな館長さんと別れ、私達はコンサートホールを後にした。


