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翌日、学校の廊下にて。
「はぁぁああああああ!?」
一気に集中する視線が体に突き刺さる。ダラリと嫌な汗が背中を伝う。
「…ウサギ、煩いから」
思わず両耳を手で塞いでしまった。こいつ、バカだ。本当にバカだ。
「静かにしてよ、もしこの話が皆に聞こえたらどうするの!」
キョロキョロと見渡せば何名かの生徒が好奇の目でこちらを見ている。やめてくれ。私とウサギはそういう関係なんかじゃない。真っ平ごめんだ。
しばらく黙って様子をみていると、放課後の部活で忙しい生徒諸君はそれぞれの活動場所へと向かって行った。変な関係だと疑われなくて一安心だ。
「…悪い」
本当だよ、と私が怒ると、シュンと小動物化したウサギ。本物のウサギと同じくらいの小ささに感じられる。
昨日竹取会に遭遇して、デューク先輩に助けてもらったと報告したら、これだ。煩い。
「ていうか、お前、何で呼ばなかったんだよ!?」
どうやらウサギの小動物化は瞬間的なものらしく、あっという間に元通りのウサギだった。気を使っているのか、声の大きさは先程より小さいのだけれど。
「…何を?」
「何って、俺のことだろ!いつでも危険な時は呼べっつっただろうが!」
不機嫌さマックスである。なんでこんなにも怒るのだろう。思考回路が謎すぎる。
「…そんなに俺は頼りにならねーの?」
ふ、と寂しそうな顔をするものだから、どきりと一瞬だけ心臓は大きく鼓動した。
「そ、そういう訳じゃ…」
そういう訳じゃないんだよ、と言おうとしたのに、
「じゃあ何でだよ!?」
ウサギときたら興奮状態に陥っているらしい。さっきまでの寂しそうな表情、雰囲気はどこえやら。いつも冷静になれないところが阿呆だよ、本当に。
それにこいつ、何人もの生徒の視線を全身に浴びていることに気づいているのだろうか。否、そんなわけがないか。だって阿呆だもの。
「だって、デューク先輩と藍羅先輩と一緒にいたし、デューク先輩強いし、すぐ倒しちゃったし、ウサギを呼ぶ時間がなかったというか何というか…」
「まぁ、デューク先輩がいてくれて本当に良かったけど。これからは呼べよ!」
腕を組んで上から目線のウサギヤローは全く気付いていないが、この廊下の遠くの方で女子の皆様がケータイを片手に持って今のこのポーズ___ウサギの腕を組んでいるこの姿を写真に納めている。
本当にこれ、撮っちゃうんですか? いいんですか? 私的にはケータイの電力が勿体無い気がしてなりませんよう!


