*
「お、おばあちゃんの鬼…!」
ありがとうございましたー、という店員さんの爽やかな挨拶を背中に聞きつつ、溢れんばかりの花達を両手で抱えて近所の馴染みのお花屋さんを後にした。
本当は私だって家の外に出たくはなかったのだけれど、おばあちゃんから「ちょっと花屋さんに頼んでいた花を受け取りに行って来て」と頼まれてしまったから仕方が無い。
きっとおばあちゃんが家中に飾る花なのだろう。
家の仕事が仕事なので、こういったことは欠かさないらしい。
手元では、ふんわりと淡いクリーム色のバラの蕾が幾つも揺れている。
きっともうじき蕾が綻び、よい香りが私達を楽しませてくれるのだろう。
それはとても楽しみだ。
けれど今日はもう家から一歩も外に出たくなかった。
というよりも、一歩も歩きたくなかった。そのまま眠りにつきたかった。
おばあちゃんの特別スパルタ修行は精神的疲労が尋常じゃない。
「はぁ…」
意図せず出てきた溜息は、オレンジがかった藍色の夕暮れに馴染んでは溶けていく。
それを目で追うように視線を上に逸らせば、空の一番高いところまで夜の闇が迫っていた。オゾン層も大気圏も突き抜けて、宇宙の青が直接降り注ぐようだ。
更にジッと見ていると、深く暗い青が広がる世界に、一番星がもう輝いていることに気づいた。揺らぐことなく真っ直ぐ地上に届くような、小さいけれど確かな黄金の光。
それは双子の美形魔法使いの先輩達を思い出させた。
その隣で細い三日月が凛と輝いているのも見つけた。
星の輝きよりもずっと強く、優しく輝くそれは欠けていて完全な状態ではないのだけれど、その淡い黄色の光が目を奪って離さない。
不意に、ぎゅるる、と胃腸が空腹を訴える。
「早く帰ってご飯食べよ…」
そう思ってまた歩き始めた。
公園前に差し掛かったところで見覚えのある4人組を見つけた。
「お、おばあちゃんの鬼…!」
ありがとうございましたー、という店員さんの爽やかな挨拶を背中に聞きつつ、溢れんばかりの花達を両手で抱えて近所の馴染みのお花屋さんを後にした。
本当は私だって家の外に出たくはなかったのだけれど、おばあちゃんから「ちょっと花屋さんに頼んでいた花を受け取りに行って来て」と頼まれてしまったから仕方が無い。
きっとおばあちゃんが家中に飾る花なのだろう。
家の仕事が仕事なので、こういったことは欠かさないらしい。
手元では、ふんわりと淡いクリーム色のバラの蕾が幾つも揺れている。
きっともうじき蕾が綻び、よい香りが私達を楽しませてくれるのだろう。
それはとても楽しみだ。
けれど今日はもう家から一歩も外に出たくなかった。
というよりも、一歩も歩きたくなかった。そのまま眠りにつきたかった。
おばあちゃんの特別スパルタ修行は精神的疲労が尋常じゃない。
「はぁ…」
意図せず出てきた溜息は、オレンジがかった藍色の夕暮れに馴染んでは溶けていく。
それを目で追うように視線を上に逸らせば、空の一番高いところまで夜の闇が迫っていた。オゾン層も大気圏も突き抜けて、宇宙の青が直接降り注ぐようだ。
更にジッと見ていると、深く暗い青が広がる世界に、一番星がもう輝いていることに気づいた。揺らぐことなく真っ直ぐ地上に届くような、小さいけれど確かな黄金の光。
それは双子の美形魔法使いの先輩達を思い出させた。
その隣で細い三日月が凛と輝いているのも見つけた。
星の輝きよりもずっと強く、優しく輝くそれは欠けていて完全な状態ではないのだけれど、その淡い黄色の光が目を奪って離さない。
不意に、ぎゅるる、と胃腸が空腹を訴える。
「早く帰ってご飯食べよ…」
そう思ってまた歩き始めた。
公園前に差し掛かったところで見覚えのある4人組を見つけた。


