「はい、終わり」
私はすっと目を開けた。
「「ありがとうございました」」
お互いお辞儀をして、特別スパルタ修行は終わりを告げた。
下げていた頭を上げて、おばあちゃんの優しい顔が視界に入ってきた途端、急に力が抜けてしまった。
「ふぇぇー…」
プツリと集中が途切れて、背筋は猫の如く丸くなった。正座の所為で縮こまっていた足も伸ばす。足が痺れて動けない。
あぁ、疲れた。心から思う。疲れた。
それと同時に修行を乗り切ることができたことが凄いと思うし、何よりこうして生きていることが奇跡だと思う。
息をしている、心臓の鼓動を感じる…なんて幸せなんだろう。
時計を見れば午後5時を示している。どうりで障子の外が暗くなっているはずだ。
「お疲れだったねえ。でも今までよりは大分良い。わたしゃ驚いたよ」
おばあちゃんのその上品な笑顔からは疲れというものを一切感じ取れない。体力がありすぎだ。
それとも私が無いだけなのか?
「そ、うかな?」
体力のない私は返事するのに精一杯だった。つくづく思う。体力は大事だ。
「さ、お腹が減ったろ? 今からご飯の準備するからねえ」
おばあちゃんだって一日中正座していたのだが、足が痺れていないのか、スッと立ち上がり台所へと向かおうとしている。
「ありがとう」
「夕飯までには着替えておくんだよ」
おばあちゃんはそれだけ言い残すと部屋を出て行ってしまった。
かと思ったら、ひょこっと廊下から顔を出して、
「ちょっと月子にお願いしたいことがあるんだけど…」
そう言ってニコッと笑った。
その意図が分からず、私は首を傾げた。


