天使のアリア––翼の記憶––

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一面白い世界が広がっている。

まるで夢の中のような感じ。

あれ、でも私は眠ってないよね?



"...つ…きこ…"


あぁ、まただ。いつも聞こえるあの声が聞こえる。

まるでコンサート会場で呼ばれるように、広い空間で響いているような声が。


"…月子…"


ねぇ、貴方は誰なの?

まるで春の陽だまりのように暖かく、真っ新なシーツのように優しく包みこんでくれるような声。

どこかで聞いたことがあるような気もするのだけれど、思い出せない。

誰、だっけ…


"…月子…お願い…天使を還して......"


え?天使?天使って歌姫のこと?

お母さんが––月読様が見たという夢に出てくるという、とてつもなく美しい歌声をもつ天使。

私が竹取会なんていう危ない輩に追いかけられるようになった原因でもある。


"...そうよ…"

あぁ、やっぱりそうなんだ…


って、え!?

私の問いに質問が返ってきた!?

待って、声が聞こえるのは一方的にこの声の持ち主が私に話しかけてくるからじゃなかったの?

流れ込んでるからじゃなかったの!?

それなのにどうして私の声が、思いが分かるの?

どうして? なんで!?

今私は軽いパニック状態に陥っている。

疑問ばかりが思考回路を占拠してオーバーヒートでも起こしてしまいそうだ。