天使のアリア––翼の記憶––

「先輩は今日はどんなドレスですか?」

先輩は何着かドレスを持っておられて、いつも違うドレスを着ていらっしゃる。この前はロイヤルブルーの大人っぽいロングドレス。その前は綺麗なワインレッドのロングドレス。

どんなドレスを着ていても、先輩は凄く似合うんだから羨ましいよね。


あたしが質問すると、カーテンの隙間からひょこっと顔をだして、不機嫌そうな顔をなさっていた。そういう子供っぽいところも堪らなく可愛い。あぁ、先輩はどうしてそんなにも可愛らしいのですか!

しかし皆さま、そんなことを考える私月子は変人ではございませぬ!断じて違うのでございまする!全ては先輩が可愛すぎる故でございまするぞ!

いけない、先輩が可愛すぎて、口調が時代を超えていた。気が付けば時空も超えていたのか、恐ろしい。


「…笑うなよ?」


先輩の声で魂が平成の世に戻ってきた。先輩ありがとうございます!

そして先輩はカーテンを潔く開けた。


「店の店員が、このドレスが似合うから値引きしてあげる、と言ったから仕方なく買ったんだ。言っておくが決してあたしの意思ではない。」


ツンとしている姿すら可愛い。もう、何をしていても可愛いんですね先輩。


「せ、先輩…」


気が付けば呟いていた。


「どうした?」

「可愛すぎます、なんですかそれ。」


先輩は、桜色のロングドレスを着ていた。しかし、そのドレスはとても大人っぽいデザインで先輩によく似合っている。

素直に口に出すのだが、溜息をつかれた。どうやら私の言葉をよく理解してくれなかったらしい。そういうところも先輩らしいのだけれども。


「どこか変じゃないか?」

先輩は、こんなに可愛い色のドレスを着たことがないらしく、とても不安そうに何度も聞いてくる。もちろん、そんな先輩は可愛くてどうしようもないくらいなのですが。


「いいえ、すごく似合っています。このドレスは先輩のために作られたように思います。」


正直に胸の内を伝えた。心からそう思います。それほど似合っている。