気付くと二十錠飲んでいる。


幸福感或いは高揚感を感じる。


幸せだと思う。


隣の車線に可愛い女の子が運転しているのが見える。


思わず手を振りたくなるが、我慢する。



もう少し薬を飲みたい為に袋からシートを取り出す。


経験的に三十錠が限界だと分かっている。


それ以上飲むと集中力が散漫になるし後で非常にだるくなるのだ。


海が見える大きな道路に出ると薬を飲みながらアクセルを踏む。


軽自動車だが、アクセルを下まで踏み込みノロノロ走っているスポーツカーを抜いた。


スポーツカーがパッシングをしてくる。


僕はバックミラーで相手を見ると二人乗っているのが分かるが、知った事じゃない。


君ら二人くらいなら軽いよと鼻唄が出そうになる。


しかし、こういう時に薬の高揚感から油断してはいけない事をこの十五年で学んでいるために軽く気を引き締める。