数秒黙り、彼は言った。
「悪いけどさ、俺のことは諦めて。
純情そうな女ほど、陰で何やってんのか…
どうせ君もそんな感じだろ?
愛美ちゃんは可愛いもんな。
良く男に声掛けられるだろ?
純粋なフリして、ヤリまくってんじゃないの?」
冷たい視線、酷い言葉。
私を傷付け、遠ざけようとしている。
純粋で純情な子なら、泣いて諦めるところだろう。
でも私はそうじゃない。
拒絶する視線にゾクゾクし、このピンチをどう反転させようかとワクワクしている。
「もう俺に構うな…」
そう言いかけた言葉を無視して、柊也先輩の手首を強く握った。
手を引っ張り校舎に駆け込み、強引に連れ込んだのは“生物化学教室”
前に穴場だと教えてくれた場所だ。


