そっちの方向に行っちゃったのか…と思っていた。
鈴奈と別れ、すぐに私を受け入れると思ったが、傷はもっと深いみたい。
女性不信…
彼の気持ちを一言で表すと、そんなところだろう。
濡れた髪に強引にタオルを掛け、正面に回り込んだ。
「先輩…どうしたんですか?
いつもと感じが違いますね…」
心配そうに見つめる私。
彼は逃げるように目を逸らした。
「柊也先輩…?」
「… 彼女と別れたんだ…嫌な別れ方をした…
俺…女が分かんない…
今は女と口をききたくない」
別れを思い出したようで、酷く嫌そうに顔を歪める。
「彼女さんと…そうでしたか…」
同情の表情を見せ、それから怖ず怖ずと聞く。
「あの…
私とも話すのは嫌ですか…?」


