黒愛−kuroai−

 


中には厳選した5枚の写真が入っている。


昨日写した画像数は50を超えていたが、それを全部送ると嘘臭くなる。


大量の写真に、なぜ1枚も顔が写っていないのかと、逆に不信に思われる。


だから5枚に絞った。
これ以上でも以下でもいけない。




封筒を郵便受けに入れようとした時、

「どなた?」

と後ろから声がした。



驚いて振り返ると、白いジョギングウェアを着た中年女性が…

この人は柊也先輩の母親だ。



しまったと焦る。

慌てて白い封筒を背中に隠した。



母親は何かを勘違いし、
「ウフフ」と笑った。




「柊也のファンの女の子かな?

たまに手紙やプレゼントを持って来る子がいるけど、こんな早朝は初めてね。
恥ずかしかったのかな?

フフッ大丈夫よ。その手紙、おばさんから柊也に渡してあげる」