黒愛−kuroai−

 


金髪の面倒臭い質問に、
笑ってこう答えた。



「私達、バックフェチなの。
どんな事も“後ろから”が好き」



見るからに下ネタが好きそうなチャラ男達が、ギャハハと笑い出す。



笑い転げる隙をつき、
由梨の腕を掴んで走り出した。



もう写真は写した。

しつこく付き纏われたら、
後が面倒臭い。





 ◇


夜8時、撮った画像は30枚を超えていた。


チャラ男の後も、次々と男達に声を掛けた。


酔っ払いのサラリーマン、
他校の男子高校生、

ホスト風、自称イケメンの怪しい人、etc…


そいつらと由梨の後ろ姿を、きっちりカメラに収めた。




2時間動き回り、そろそろ疲れて来た。

お腹も空いたし、どこかで休憩したくなる。



由梨に言う。


「カラオケ行こう?
個室でゆっくり休みたい」




「うちの高校は
カラオケも禁止で…」

とは、もう言わなかった。



言ったところで

「だから?」

と言われるのが分かっているから。