黒愛−kuroai−

 


由梨が驚いている。



「これ…鈴奈さんの…」



「うん。本物じゃないよ?
レプリカ。
“鈴奈さん変身セット”だよ。
フフフ」




絶句する由梨に、
ペラペラと計画を説明する。



「由梨って後ろ姿が似てるから、白セーラー服にこのグッズを持てば、完璧彼女に見えると思うんだ。

鈴奈さんのフリした由梨が、イケナイことするの。

それを私がカメラで写し、柊也先輩に見せれば…
きっと上手く別れ話しが出るよ。

ね?イイ考えでしょ?」




説明しながら、
柊也先輩の顔を想像していた。

清宮鈴奈の醜態に、
ショックを受ける彼の顔…



自然と笑みが浮かび、
「アハハ」と声を上げ笑ってしまう。



青ざめる由梨が
震える声で聞いた。




「愛美ちゃん…
その計画…いつから考えてたの?」




会話の流れの筈なのに、
なぜ予め変身グッズを用意しているのか…

そんな疑惑の目が向けられた。



ニッコリ笑い答える。



「由梨とマックで話した時からだよ。
それがどうしたの?」



「………」