黒愛−kuroai−

 


由梨に麦茶の入ったコップを渡し、一旦落ち着かせてから嘘を重ねた。




「危険なの…
鈴奈さんから別れを切り出したら、あの男は何をするか分からない」



両腕で体を抱きしめ、
恐ろしげに震えて見せた。




「柊也先輩はプライドが高いから、自分を拒む女を許さない。

彼のセフレの一人が、もう会うのヤダと言ったら…殴られたんだって。

それだけで終わらず、
掲示板で中傷されたり、裸の写真ばらまかれたり…

更には彼の友達の間で輪姦されて…その子学校辞めちゃった…」




由梨は驚き目を見開く。

現実にそんな事する男がいるのかと、見知らぬ柊也先輩を恐れている。


由梨に念を押す。



「鈴奈さんにこのこと言わないでね?

彼の本性を知ったら、
きっと別れたいと言うと思う。

でも…鈴奈さんから別れを切り出すのは危険だから」