黒愛−kuroai−

 


清宮鈴奈にニッコリ笑いかけた。



「初めまして!由梨からいつもお話し聞いていました!

本当に綺麗な人ですね。
うわ〜私も憧れちゃうな〜」




綺麗だと言われ慣れているのか、彼女は照れずに普通に微笑んだ。



「私も時々あなたの話しを聞いているのよ。
由梨ちゃんは、あなたが大好きみたいね」




うん、知ってる。

由梨だけじゃなく、あんたの事も知ってる。



例えば、
部活休みの火曜の今日、あんたは帰ってピアノのレッスン。



父親の車は黒のベンツ。
兄の車はアルファロメオ。


2匹の不細工な犬を飼っていて、名前はココアとミルク。


母親は料理は上手、掃除は苦手。

家政婦を1名雇っていて、彼女の名前はマキコさん。



19時に夕食、21時に入浴。
予習復習は欠かさず毎日。

柊也先輩におやすみメールを送り、23時半に就寝。



立派なお金持ちの家庭、
真っすぐ清純に育つお嬢様。



そのイメージが音を立て崩れたら…

柊也先輩は
どんな顔をするだろうネ。