黒愛−kuroai−

 


玄関から出て来た由梨は、私の姿を見て驚く。



「愛美ちゃん?わざわざ迎えに来てくれたの?」


「うん!
早く由梨に会いたくて!」


「う、嬉しいっ!」




今日の放課後、
由梨が私の家に遊びに来る約束をしていた。


家で待っていればいいのだが、
わざわざ迎えに来たのには理由がある。



由梨が隣に立つ彼女を、私に紹介した。



「愛美ちゃん、こちらが前に話した“清宮鈴奈さん”です!」




由梨と彼女が一緒に帰るのを知って、ここに来た。


吹奏楽部は練習日が月、水、金。

火、木は練習がなく、真っすぐに帰宅する。

彼女に憧れる由梨は、チャンスとばかりに駅までくっついて帰るのだ。




今日は清宮鈴奈に会いに来た。

排除する前に、一言くらい挨拶するのが礼儀でしょう。

会いに来た理由はそんなところ。