黒愛−kuroai−

 



由梨の手から携帯を奪い取り、じっくりと眺めた。



「直接の知り合いではないけど知ってるよ。

この人の彼氏が、うちの高校の先輩なんだ。

先輩に今日“たまたま”彼女の写メ見せて貰ったところ」




私が清宮鈴奈を知っていた事が、由梨はかなり嬉しいようだ。


白い頬をピンクに染め、
浮かれて饒舌に喋り出す。



由梨から聞いた人物像は、

成績優秀、眉目秀麗、
人望があり後輩の面倒を良くみて…

私の1番嫌いなタイプだ。



そんな彼女に憧れ、由梨は髪型を真似したらしい。



言われて見ると、良く似ている。

肩までの長さ、ウェーブの掛け方、
カラーも少し入れているみたいで、綺麗なダークブラウンだ。



白いセーラー服姿で後ろを向けば、見分けが付かないかも。



清宮鈴奈の写メを、食い入るように見ながら質問する。



「ねぇ…鈴奈さんと由梨って身長同じくらい?
後ろ姿で間違えられることない?」




二人が並んで写るこの写メでは、背格好は似たように見えた。




「え?う〜ん、そうだね。身長は同じくらい。

間違えられたことはないけど、髪型鈴奈さんの真似?って、良く言われる」



「へぇー…」




似ているよ…

同じ制服、同じ髪型、

これで持ち物が同じだったら…

多分見間違えちゃうネ。