嬉しくて楽しくて、笑いが止まらない。


そんな私に、彼は冷酷な獣の目を向けていた。





「行くぞ」


迷いのない声で言われる。



「うん!
フフッ…ウフフフッ…」


笑いながら頷いた。





二人は前に進む。

手を繋ぎ、一歩前へ。




宙を踏む足…

傾く体…

海に向け、垂直に落下して行く。





一緒に落ちる筈だった。

永遠の愛を約束していた。




それなのに…

繋いでいた手は、離されていた。




落ちながら崖上を仰ぎ見ると、

逆光の中、ニヤリと笑う口元が見えた。





彼は飛び下りない。

飛び下りるフリして、私を欺いた。




落ちるのは私だけ…?

ううん…




“ソウハ イカナイヨ”