黒愛−kuroai−

 


割れた卵で足が滑り、コンクリートに尻餅を付いた。


転んだ私に、ブタ子がゆっくり近付く。




「生卵でドロドロじゃん…汚い…

ねぇ黒田さん、どうしてイジメられるのか、分かるでしょ?

柊也先輩と別れてよ。
別れると言えば、イジメるの止めてあげる」




私を見下ろし、腕組みして、薄く笑うブタ子。

その卑劣な態度も台詞も、台本通りで素敵。




卵まみれの顔を袖で拭き、ブタ子を睨み返した。




「別れないよ。何をされても別れない。

イジメ?やればいいじゃない。私は負けないから」




強気の私にブタ子が舌打ちする。

夢キラリ☆がバケツを手にし、冷水を浴びせた。



今は12月。
コートも制服もずぶ濡れになり、演技じゃなく体が震える。



ブタ子が楽しそうに笑い、釣られて他の3人も笑った。




「寒いよね?冷たいよね?

止めてって言いなよ。別れるからもう止めてって泣きなよ」




首を横に振る。

寒さに震えながら、ブタ子を睨み続けた。


反抗的な目にブタ子が苛立つ。



肩を蹴られ、仰向けに転がった。

そこにもう一杯、バケツの水が浴びせられた。



髪を引っ張られ、手足を踏まれ、

ピコピコハンマーは使ってくれないけど、

ケチャップ、マヨネーズ、卵、水、私の用意した小道具で、4人が一斉に攻撃してくる。