黒愛−kuroai−

 


寒い外気の中、白い息を吐きながらグラウンドの端に行く。


倉庫と呼ばれる建物は、それほど大きくない、プレハブの物置小屋だ。



中にはハードルや高跳びなどの陸上用具と、

肥料、スコップ、ミニ耕運機などの園芸道具、

それから、脚立や天幕、ブルーシートなどが仕舞われている。




正面には開口の広いシャッター。

その横に普通のドアがあり、シャッターを開けずとも出入りができる。



もちろん普段、ドアに鍵が掛かっている。

でも、そんなのは、どうとでもなる。

掛かっている鍵は開ければいい。




今日の6時間目前の中休み、職員室へ行った。


「地理で世界地図を使うので、資料室の鍵借ります」


そう言って、ボードに掛かっている全教室の鍵の中から、倉庫の鍵を手にした。

それだけの話し。




ドア前に立ち、氷のように冷たいドアノブに手を掛ける。


ニヤけていた顔を元に戻し、緊張と怯えの表情を作る。


それから、ゆっくりドアノブを回した。