黒愛−kuroai−

 


もちろん、書いたのも入れたのも私。


菜緒の前で不安げな顔を作り、
指先を震わせ、メモ用紙をカサカサ言わせてみた。



文章を読み、菜緒が言った。




「行ったらダメだよ?」



「でも…ペナルティが…」



「ただの脅しだよ。無視無視」



「でも…
“大事な人達”に危害って…
菜緒のことかも知れないよ?」



「え?私?」





呼び出しメモに書かれた“大事な人達”との言葉。

菜緒はそれを、柊也先輩のことだと思ったみたい。



まさか自分が含まれると思わなかったので、私の指摘に驚き、戸惑っていた。



迷いは顔に出る。



私を心配するのは、嘘じゃなく本当の気持ち。

「行くな」「無視しろ」と言ったけど、

そのせいで自分に害が及ぶなら、話しは別。




薄情だとは思わないよ。

誰だってイジメに合いたくないもの。



中傷ポスターを貼られたくないし、机に悪口書かれたり、上靴を盗まれるのも嫌だよね。



イジメられる自分を想像し怯える菜緒。

「行くな」と言えなくなった彼女に笑顔を向ける。