黒愛−kuroai−

 


4時間目の体育を終え、教室に戻る。


予想していたが、留守の間に机上は落書きだらけになっていた。



“ウザイ、シネ、バカ”

びっしり書かれた、頭の悪い文字が100個。

今朝消したばかりなのに、また消さなければならない。




お弁当を出す前に、マニキュアの除光液を出す。

油性ペンの文字を端から順に消していると、除光液の小ビンとティッシュを菜緒に奪われた。




「菜緒、いいよ…
自分で消すから…」




そう言っても、菜緒は返事をせず、黙々と机を拭き続ける。



唇を引き結び、怒っているようにも見える。


やがて菜緒の目から涙が溢れ、綺麗になった机上にポタポタと落ちた。




「菜緒?どした?」




「“どうした”じゃないよ…

こんなの悔しいよ…

愛美…いつまで我慢する気?
段々酷くなってるのに、何で誰にも言わないの?」




「それは… まだ我慢できる範囲だし…私は大丈夫…」




「もう!大丈夫大丈夫って、あんたそればっかり!

愛美が大丈夫でも、私の我慢は限界だよ!

こんな卑怯な真似許せない!

犯人、柊也先輩ファンでしょ?
先輩に言ってやるから!」




「ま、待って!
それはまだ早…いや、もう少しだけ待って!」