黒愛−kuroai−

 


テニス部の練習が終わりそうな頃、私からブタ子に近付いて行った。



「双山さん、今日も寒いね!」


「え…?
あ、そうだね、寒いね」



私から話し掛けるのは初めて。

ブタ子は驚き、怪訝そうにする。



ピンクの手袋を嵌める彼女は、
ポカリスエットを持っていた。



これは柊也先輩への差し入れ。

時々練習終わりに飲物を渡し、
会話のチャンスを狙っていると知っている。



私の彼氏に勝手に貢ぐなと怒りたいが、今はニッコリ笑い、こう言った。




「そのポカリ、柊也先輩にあげるんでしょ?

私の彼氏に、いつもありがとう!

ドリンク代が浮くって、喜んでいるよ。

浮いたお金で、私にお菓子買ってくれるし、私からもありがとネ!」




ブタ子は言い返さないが、
物凄い顔で睨んでくる。