風牙くんが優しく、あたしの頭をなでた。
「我の気を分けてやったのだ。
前より体調は良くなっているはずだが?」
四郎くんは不満そうに、スサノオ兄弟をにらむ。
「うん、四郎くんの言う通り、弱い霊は見えなくなったから……前より調子はいいよ」
「そうであろう、そうであろう」
なにふんぞり返ってるのよ……。
あたしあのあと、ショックで半日寝込んだんだから。
むりやりされたキスのことを思い出すと、胸がざわざわする。
四郎くんから視線をはずすと、スサノオ兄弟がとても不機嫌そうな顔をした。
あれからいつもこんな調子で、みんなが笑っているなんてことはほとんどなかった。
スサノオ兄弟に気を遣えば、四郎くんがすねる。
四郎くんに気を遣えば、スサノオ兄弟がすねる。
ああ……どこもかしこも、居心地悪い……。
またため息が出そうになったとき、不意に声をかけられた。
「神崎さん」
驚いて顔を上げると、そこには森永さんが笑顔で立っていた。



