「俺の音色でしびれちまえ!」
──ギュイイイイイイイン!!
アンプもないのに、ギターはものすごい轟音をかき鳴らす。
するとその音波はまるで稲光のように光を放ちながら、タヌキのぽっこりお腹を貫通した。
ぱたぱたと、3匹のタヌキがその場に倒れる。
「雷牙……すごい!」
これって、スサノオの子孫の力なんだよね。
決め台詞はちょっと聞いてて恥ずかしいけど、とにかくすごい!
『神の血……?』
『神の血、ほしい』
タヌキたちは、まだ5匹ほど残っている。
そのすべてが、雷牙に向かって駆けだした。
どたどた走る彼らは葉っぱを取り出し、2匹が肩車をしたかと思うと、煙が彼らを覆う。
どろんという漫画みたいな音がして、2匹は合体し、巨大なタヌキと化した。
「へ、変身した!」
「美心、逃げるぞ!兄貴、頼む!」
「……心得た」
雷牙が、あたしの手をひいて、後ろへ後退する。
すると今度は風牙君が、両手を体の横に広げた。



