「きれい……」
思わずのぞきこんでいると、四郎くんは制服のネクタイをゆるめ、それを首にかけた。
うわー、なんかすごい天草四郎っぽい。
本人だけど。
っていうか……ネクタイゆるめただけで人をドキドキさせるような、この色気はなに?
ぽーっとしていると、突然後ろから足音がした。
驚いて振り向くと、雷牙と風牙くんがこちらを真面目な顔で見ていた。
「……すげーな。悪霊を一瞬で成仏させちまった」
雷牙が言う。
そうだ、変なこと考えてる場合じゃなかった。
四郎くんの力。あれは……やっぱり、只者じゃない。
「見ていたのか。なぜここにいる?」
「美心が教室に戻ってこねーから、心配で探してたんだよ」
「通りかかった小さいおっさんに聞いたら、こちらだと言うから」
「ふうん。
愛されているな、お前」
四郎くんはからかうような目で、あたしを見た。
だけどすぐにその青い目から笑いが消える。



