しゃがみこんでおっさんと話していると、先を歩いていた四郎君がこちらに近づいた。
「美心はこやつが見えるのか?」
あたしの隣にしゃがんだ四郎君は、おっさんとあたしを交互に見た。
おっさんは自分の姿が見える人間があたし以外にいることに驚いているみたい。
「うん……見えるよ」
「話もできるのか」
「うん」
「やっぱりな。
お前からはただならぬ気を感じていた」
え、そうなの?
四郎君に質問しようとした、そのとき。
突然背後で、がらがらと瓦礫が崩れる音がした。
「なに?」
そちらを見ると、四郎君があたしをかばうように前に立つ。
足元からは、小さいおっさんが全速力で逃げていった。
もくもくと土煙が上がる中、ゆらりと立ち上がった影があった。
その途端、全身に鳥肌がたつ。
「……オロチ……ではないな」
四郎君は低く言い、煙の中をにらむ。
崩れた教会の中から出てきたのは……。
髪の長い、女の人だった。



